コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2014/11/11

建設業にもウーマノミクス

▼女性の就労拡大により日本経済を発展させる「ウーマノミクス」が注目を集めている。安倍政権が打ち出した「女性活躍推進」が、労働力不足に対応するだけでなく、女性の活躍を経済成長の新たなエンジン役に据える狙いであることから、これが10年以上前に提唱されたウーマノミクスの再来と目されているためだ
▼ウ―マノミクスとは女性(ウーマン)と経済(エコノミクス)を組み合わせた造語で、米証券会社のストラテジストが1999年に提唱。働き手としても消費者としても女性のパワーがけん引する経済のあり方を意味する。これが、2020年までに女性の就業率(25~44歳)を73%、企業などで指導的な地位を占める女性の割合を30%にそれぞれ引き上げるとする安倍政権の成長戦略と合致したわけだ
▼建設業でも女性を増やそうという議論が盛り上がりを見せている。建設業における女性技能者は14年時点で約9万人だが、国交省では19年度までに女性技術者を2万人、女性技能者を18万人に倍増させる計画を打ち出した。一見大胆な数字にも見えるが、国交省によれば、1997年には建設業界に兼業者も含めて約26万人の女性が存在した。今後5年で計画通り18万人に増加されれば、建設業人口に占める女性の割合が、97年当時と同等の6%になる計算だ
▼行政や団体、企業がこの目標達成に向けて努力すべきことは言うまでもないが、それ以上に、建設業界の各団体が女性の躍進に向けた明確な目標を立てることが重要だと、国交省は主張する。そのために、女性に若い頃から建設業に親しんでもらう努力をし、環境整備や教育訓練の充実、モデル工事の実施、さらに表彰制度やポータルサイトの創設などの方策を提言している
▼女性の活躍は単に労働力の問題だけでなく、社会保障の問題にもつがなる重要課題だ。いくら優秀でも制度の不備や不十分な育児支援などで女性がハンディを負い、労働力として埋もれてしまうことのないよう、社会の意識改革や制度の見直しが必要になる。

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