コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2012/06/12

400年のランドマーク「日本橋」

▼ いま東京のランドマークといえば、東京スカイツリーになるのだろう。しかし古くからの江戸東京のランドマークといえば、日本橋が代表だ。その歴史と文化に焦点を当てた展観「日本橋~描かれたランドマークの400年」が江戸東京博物館(台東区)で開かれている
▼ 日本橋は1603年ごろに架橋され、以来400年以上の歴史を持つ。常に江戸の中心に位置付けられ、全国各地へつながる街道の出発点でもあった。当時の名所絵などに描かれた賑わいの様子が、そのまま江戸の繁栄を象徴している。南詰の上流側に置かれた高札場、もしくは北側の魚河岸を描き、遠景には江戸城と富士山を織り込む構図が多い
▼ 明治時代に入ると、日本橋も激動の時代に合わせ時々刻々と姿を変え、1873年に西洋型木橋に架け替えられ、形状もそれまでの太鼓橋から平らになった。1882年には鉄道馬車が敷設され、文明開化の最先端を行く名所となった。歩道と車道が明確に分かれ、電車や車が主役となる未来の道路事情が明治初期の錦絵などから見て取れる
▼ 1911年には現在の石造となり、青銅製の獅子や麒麟などのモチーフが装飾に施され、江戸時代以来のイメージが一新された。橋の幅も江戸時代の約7・9㍍から約27㍍となり、3倍以上に広がった
▼ 1963年には、橋上に現在の高速道路が架かった。人力車や鉄道馬車を熱狂的に迎えた明治の人々も頭上に車が走るとは想像もしなかっただろう。しかしどんなに姿を変えようと、東京のシンボルであり続けるのが日本橋である。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ