コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/06/27

復興に求められるスピード感

▼復興の枠組みを定める復興基本法が20日に成立し、24日に施行された。東日本大震災の発生から実に3か月余り。いかにも遅く、スピード感に欠けた対応と言わざるを得ない。しかも、決まったのは枠組みだけで、具体策はこれから。「雇用や二重ローンなど課題が山積し、このままでは地域が消滅する」と、被災地からは悲痛な声が上がる
▼かくも対応が遅いのは、参院で野党が多数を握るねじれ国会によるためだ。そもそも、具体的な復興策の実施を中央省庁に委ねる政府案に対し、自民、公明両党は企画・調整から実施までを一元的に担う「復興庁」の設置を求め、政府案の閣議決定後も対立が続いていた。政府側が歩み寄ったのは6月に入ってからで、今回、復興庁の設置などを盛り込んだ修正案がようやく日の目を見たかたちだ
▼ 阪神大震災の際は約40日で基本法が成立し、関東大震災の時ですら1か月ほどで復興院ができた。今回の震災が日本全体にとってどういうものか、震災を乗り越えようとする国家意思がどれほどあるのか、疑いたくもなる。法案は復興に向けた大切な基本の部分。政争している暇があるなら、もっと早く道筋をつけられなかったものか
▼復興庁については「早期に設置する」、復興庁設置法案の策定についても、政府側の国会答弁で「年内をめどとする」としか表明されていない。今後、省庁間における権限の切り分けや省庁側の権限縮小への抵抗なども予想され、前途は多難だ
▼このままでは、未曾有の天災に、人災の色合いが深まるばかりだ。繰り返しになるが、今何より必要なのは現状に即したスピーディーな対応である。被災地の過酷な現状を思えば、もはや一刻の猶予も許されない。

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