コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2015/05/12

実を結んだ五輪の一部本県開催

▼降って湧いたような話かと思いきや、水面下で周到なPR活動が行われていたようだ。本県で東京五輪の一部競技が開催されることが内定した。2020年五輪・パラリンピック組織委員会の森善朗会長が14日、森田健作知事に幕張メッセでの開催を要請し、森田知事が快諾した
▼幕張での開催が見込まれるのは、東京ビッグサイトが手狭で開催が困難になったレスリング、フェンシング、テコンドーの3競技のうちの一つ、もしくは複数だという。森会長の要請に、森田知事は「うれしく光栄。何とか千葉県で、生の競技を県民に見てもらいたいと奔走していた」と満面の笑みで応じた
▼知事は昨年暮れから絶えず森会長にメールなどで「成功させましょう」「私どもにはこういう環境がある」と材料を示してきたという。その熱意が実を結んだ格好だ
▼会場として名前の挙がった幕張メッセは、東洋一の規模、日本初の一体型冷暖房完備のコンベンション施設として1989年10月に開業した。筆者も建設時や北ホール増設時などには何度か取材し記事を書いたが、開業後どれほど足を運んだかというと、東京モーターショーや東京オートサロンなど、数えるほどしか来場の記憶がない▼幕張メッセも開業当初は業績、稼働日数、来場者数ともに順調に推移したが、東京モーターショーが東京ビッグサイトに移るなど、ライバル施設との競合で苦戦を強いられてきた
▼今回の五輪競技の一部開催は、幕張メッセの存在価値を知らしめる絶好の機会になるだろう。老朽化する施設の改修やインフラ整備なども含めて、他会場に勝るとも劣らない成功を目指して準備を進めてもらいたい。ひいてはそれが、本県のポテンシャルを内外に知らしめることにもつながるはずだ
▼県では各国選手団のキャンプを誘致することなどを目的とした特別グループを組織し、県内施設などの情報を収集してきた。ここに競技の開催が加われば、文字通り本県がオールジャパンを掲げる東京五輪の一翼を担うことになる。

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