コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2015/12/08

マイナンバー狂騒曲

▼マイナンバーを記した「通知カード」の配達が一部で大幅にずれ込んでいる。初めての制度とはいえ、説明不足、準備不足の感は否めない。来年からの利用開始が迫った現在もなお、マイナンバーに関するセミナーは花盛りだ。税理士など専門家でも、毎月のように新情報が出てきて混乱するという。導入まで、あるいは導入後もその動向が大いに気がかりだ
▼専門家によれば、マイナンバー制度で最もわかりにくいのは、そもそもマイナンバーは何かという基本中の基本の部分だという。簡単に言えば、個人情報とは「生存する個人に関する情報」、個人番号(マイナンバー)とは「住民票コードを変換して得られる番号」、特定個人情報とは「個人番号をその内容に含む個人情報」と定義される
▼個人番号に関する事務には利用事務と関係事務があり、この2つの区別を認識することが前提になる。具体的には、利用事務の実施者は官公庁と地方公共団体、関係事務の実施者は事業者や経理担当、税理士、社労士等となる。要するに民間の事業者は、個人情報の関係事務は行うが、利用はしない。利用するのは官公庁だけということになる
▼さらにマイナンバーは、社会保障・税・災害対策の手続きのために行政機関等に提供する場合を除き、むやみに他人に提供することはできない。それ以外で使用すれば番号法違反となり、故意あるいは重過失による漏えいが認められれば、懲役や罰金が科せられる。事業者としても従業員のマイナンバー収集後は厳重な管理体制が問われるだけに、慎重にならざるを得ない
▼来年以降、最初にマイナンバーが必要になる行政手続きとしては、退職者や新入社員の雇用保険などとみられる。当面はこうした社会保障や税に関する手続きに利用されるが、国では今後、マイナポータルやワンカード化、地方公共団体等も含めた情報連携など、その利用範囲を順次広げていく方針を打ち出している。事業者側は今後も早めの情報収集と対応準備に努める必要がありそうだ。

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