コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2016/02/09

マリ氏語る専門新聞の可能性

▼日本は世界に誇る優れた技術を持ちながら、それを知らせるすべに長けていない。そのすべを身につけ、海外にも目を向けていけば、ビジネスチャンスはまだまだ広がる――。日本専門新聞協会が開いた新春講演会で、講師のマリ・クリスティーヌさん(国連ハビタット親善大使)はそう語った
▼異文化コミュニケーターの肩書で活躍するマリさんは、様々な具体例を用いて日本と諸外国との文化の違いを解説。幼少期から海外で生活し、堪能な語学力を持ち、海外の文化にも精通しているコスモポリタンならではの指摘に、目を見開かされる思いだった
▼日本には各分野で世界に知られていない技術がまだたくさんあり、素晴らしい技術が小さな工場でつくられたものだったりすると、マリさんは日本の技術レベルを評価。職人や技術者一人ひとりが自分の文化や技術にもっと自信や誇りをもつべきと指摘した。今後、技術者などの高齢化が進み、次の世代への技術継承が難しくなることを考えると、外国人の受け入れ態勢を早急に整える必要性があるとも強調した。様々な地域の人が集まれば、これまでなかったイノベーションが期待でき、そのためにも英語で技術などを発表すべきと訴えた
▼そのうえで専門新聞の仕事については、こうした高い技術や新しい発明を日本だけでなく海外に伝える橋渡しの役割を担ってほしいと要望。記事などを英語で積極的に発信していくことに期待を示した
▼新聞は電子媒体に押されているが、電子があるから紙媒体も生かされる。電子媒体で読む人もプリントアウトして見たい気持ちは必ずあるとし、電子媒体を通して論文や新技術などを英語で発信していけば、その情報が、世界のどこかで誰かの求める答えとなる可能性があるとの見解を示した
▼専門新聞に携わる者にとって、そうしたビジネスにおける橋渡し的な感覚は日々感じるところだ。今後は、マリさんの言うように、地域や業種にとらわれぬ、よりグローバルな視点での情報発信に心掛けていきたい。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ