コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/11/07

注視要するスロースリップ

▼先日の新聞各紙に、気になるニュースが載っていた。房総半島の東方沖で、地震を伴わずプレート境界がゆっくり滑る「スロー地震(スリップ)」が起きているというのだ。東日本大震災後のこの時期、こうしたニュースにはどうしても神経質にならざるを得ない
▼防災科学技術研究所(つくば市)の発表によれば、スロースリップは、フィリピン海プレートが日本列島の下へ沈み込んでいる場所で起きており、地殻変動のデータ解析では、10月26日から5日間で6センチほど滑ったと推定されている。スロースリップの観測は約30年続けられており、前回までの5回は平均6年間隔で発生が確認されたが、今回は07年8月以来4年2か月ぶりで、過去最小の間隔だった
▼07年にはスロースリップによって房総半島周辺で最大震度5弱の群発地震が誘発されて起こり、今回も注意が必要だ。東日本大震災の巨大地震が起きた太平洋プレートとは場所が違うものの、東日本大震災の影響で発生が早まった可能性がある。また、プレート境界が固着している部分にひずみがさらに蓄積され、将来地震が発生した場合、規模かk第二つながる恐れも指摘されている
▼“備えあれば憂いなし”との言葉もあるが、私たちは東日本大震災の経験から、予期せぬ自然災害の前では最大限の備えをもってしても十分すぎることはないことを教えられた
▼今回の観測では、新たに設置した高感度加速度計によって明瞭な傾斜変動がとらえられたという。こうした観測技術の向上も、今後は災害の予知や減災に役立てていきたい。

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