コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/07/05

訴訟にも揺るがぬ名曲「天国への階段」

▼熱心なファンにとっては、神をも恐れぬ訴訟とでも言いたくなる騒動だった。英ロックバンド「レッド・ツェッペリン」の代表作で、ロックを代表する楽曲の一つ「天国への階段」が盗作だと訴えられていた裁判が先月、ロサンゼルス連邦地裁であった
▼裁判はレッド・ツェッペリンが1971年に発表した同楽曲の冒頭部分のフレーズが、米ロックバンド「スピリット」が68年に発表した楽曲「トーラス」から盗用したものだとして、スピリットのギタリスト(故人)の遺産相続人が著作権侵害で訴えていた
▼これに対しレッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジは「最近までスピリットの楽曲を聞いたことがなかった」「よくあるコード進行だ」などとして盗作を否定。ロサンゼルス連邦地裁の陪審も「2つの楽曲は本質的に異なる」と原告の訴えを退けた
▼これを受けてツェッペリン側は「45年にわたって私たちにはわかっていたことが立証されてよかった」との声明を発表。所属レコード会社のワーナー・ミュージック・グループも「『天国への階段』の真の起源を再確認してくれたことをうれしく思う」とのコメントを出した
▼これほどの名曲はツェッペリンだから作れたと筆者のごときファンは信じて疑わなかったが、この評決でもやもやが晴れた。今回の騒動をきっかけに、さらに多くの人にこの楽曲を聴いてもらえればいい
▼ちなみに「天国の階段」はイ短調、4/4拍子、3部構成の楽曲で、静かに始まり、徐々に盛り上がるドラマチックな曲調だ。その歌詞は4行で1連をなし、ところどころで脚韻を踏む。難解とも言われるが、それだけに様々な解釈が可能とされる
▼「輝くものすべて黄金と信じる淑女がいる」に始まり「彼女は天国への階段を買うだろう」で終焉に至る。クライマックスでは「すべてがひとつになり、ひとつがすべてになるとき、僕たちはひとつの岩になる。揺るがぬ岩に」と歌われる。混沌とした現代社会に投げられた普遍のメッセージにも聞こえる。

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