コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/08/09

リオ五輪から学ぶべきもの

▼リオ五輪もはやたけなわだが、開催国ブラジルについてたいした知識のないことに気づき、ここ最近あちこちで特集されていた雑誌の記事などをながめてみた▼地図を見て改めて驚くのは、その圧倒的な国土の広さだ。面積は851万㎢に及び、世界で第5位、日本の約22・5倍もある。これほど広大だと、大アマゾンを懐に抱いていたとて不思議はなく、有数の資源国として注目されるのもうなずける
▼一般には、エネルギッシュで底抜けに明るい〝魅惑の大国〟というイメージが強いが、貧困や格差、政治の混乱や不景気など多くの課題も抱える。一方で日系移民が多く、われわれ日本人にはどこか親しみ深い国でもある。その意味では〝遠くて近い国〟とも言える
▼リオ五輪開催にあたっては、ジカ熱への不安や治安の悪さ、施設整備の遅れや不備など気になるニュースが目立ったが、無事開幕したからには、17日に及ぶ大会が成功裏に終わることを望みたい
▼開催地リオデジャネイロは「1月の川」の意味で、1502年にこの地を見出したポルトガル人がグアナバラ湾を川と間違えて名付けたものと言われる。太陽が燦々と降り注ぐ水面がよほど印象的だったのか。その海と多くの岩山の間を縫うように広がる町並みは、2012年にユネスコ世界文化遺産に登録された
▼17世紀にはサトウキビ貿易で成り立つ小さな港町だったが、18世紀前半に発見された金とダイヤモンドを、欧州へ積みだす港として植民地総督府が置かれ、ナポレオンの侵攻を逃れたポルトガル王室の首都となった特異な歴史を持つ
▼街の南には美しい砂浜が広がり、両手で街を抱くかのようにコルコバードの丘(標高約710m)に立つキリスト像もシンボリックだ
▼大会組織委のヌズマン会長は「貧しくても豊かでも、それぞれの現実に合わせれば(五輪の開催は)できる」と力強く語っている。島国日本とは対照的なブラジルだが、2020年に東京五輪を控える日本にも今回のリオ五輪から学ぶべき点は多いはずだ。

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