コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/08/30

陰で支えた日本企業

▼連日熱戦が繰り広げられたリオ五輪も幕を閉じ、宴の後の寂しさもまた遠のきつつある。開会中は筆者も行く先々で五輪の話題に出合い、その盛り上がりを実感した。それもこれも日本選手の奮闘があってこそ。やはり自国の選手の活躍はうれしいし、メダル獲得となればなおさらだ
▼ジカ熱やテロ、ドーピングなどの諸課題に加え、ブラジル経済の不況とあいまって一時は開催すら危ぶまれた大会だったが、どうにか懸念を払しょくし、成功裏に閉幕したと言える。そこには、円滑な大会運営に貢献した日本企業の存在も大きかったようだ
▼五輪観戦の出入国者の大半が利用するリオデジャネイロ国際空港の税関にはNECの顔認証システムが設置された。その認識性能は極めて高く、160万人の本人確認をわずか0・3秒で行えるというから、まさにハイテクの極みと言える
▼ジカ熱対策では、住友化学の業務用殺虫剤がウイルスを媒介する蚊の駆除に活用され、池などにまいて幼虫のボウフラが湧かないようにした。ドーピングでも日本企業が対策に関わり、リオに検査スタッフを派遣し、不正の発見に尽力した
▼パナソニックは開会・閉会式の映像機器納入や演出の一端を担ったほか、多くの競技で同社のビデオ判定システムが用いられ、その技術力を示した。また日産自動車は、選手の移動や聖火リレー伴走のため、スポーツ用多目的車(SUV)を提供した
▼ほかにもリオ五輪で活躍した日本企業の技術や製品をあげれば枚挙にいとまがない。スポンサー企業らにとって自社をアピールする絶好の機会でもあり、2020年の東京大会へ向けた各社の技術開発が早くも熱気を帯びてきた。こうした現状を目の当たりにすると、リオ五輪閉幕と同時にバトンは確実に東京大会に渡された思いがする
▼その激走で見事銀メダルを獲得し、バトンパスの技術でも世界を驚かせた男子400mリレーのように、東京大会ではハード・ソフト両面で日本ならではの高い技術力を遺憾なく発揮してほしい。

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