コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/10/22

日本人のあるべき姿

▼サッカー日本代表の欧州遠征2連戦は、収穫と課題を浮き彫りにした結果となった。フランス代表選はとにもかくにも日本が勝利を収めたことで、同じサンドニの地で喫した11年前の惨敗のリベンジを果たした
▼フランスにしてみれば格下と思われた日本に敗戦したことがよほど悔しかったのか、国営テレビが福島第1原発事故と日本代表ゴールキーパーの川島永嗣選手を結びつけて揶揄する発言を行い、波紋を呼んだ。フランス戦で好セーブを連発した川島選手の腕が4本ある合成写真を映し、司会者が「原発事故の影響ではないか」と発言した
▼被災者の気持ちを傷つけ、復興への努力を踏みにじる心無いものだ。いくらジョーク好きのお国柄とはいえ、その合成写真からして悪趣味で無神経すぎる。東日本大震災がどんなものであったか、正しく理解されていない悲しさすら感じた
▼政府がこの国営テレビに抗議したのは当然としても、日本サッカー協会が、被災者の心情に配慮したとして抗議に慎重な姿勢を示しているのはいかがなものか。それでなくても自己主張が下手な日本人、やはり抗議すべきときは毅然として抗議すべきだろう
▼それに比べて川島選手自身がリエージュ(ベルギー)で開いた会見は、被災地への思いに溢れた勇気あるものだった。「福島にはいまだに家に帰れない人もいる。世界中の人々が日本を救ってほしい」「当たり前のことが当たり前にできない。復興だけでなく、心の傷は簡単には癒えない」などと涙ながらに訴えた。自分の言葉で話すために自ら希望して開いたというこの会見。日本人のあるべき姿を教えられる思いだった。

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