コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/12/27

産業集積に不可欠な道路整備

▼首都圏で大型物流施設の新設が相次いでいる。整備が予定されている大型物流施設は判明しているだけで約70件に上り、とくに圏央道沿線での立地が目立っている。インターネット通販の即日配送サービスの拡大などに伴い、こうした新設ラッシュは今後も続きそうだ
▼物流業界で人気の高い立地場所は神奈川、埼玉、千葉、茨城の順だというが、神奈川県内は土地枯渇、地価高騰の傾向であるため、現在、立地予定件数が最も多いのは埼玉県の23件、次いで千葉県と神奈川県の12件となっている
▼千葉県内に限れば、船橋市、流山市、柏市、印西市、成田市、木更津市などで新設の計画が明らかになっている。人気の高い湾岸部では用地が払底しつつあり、立地は徐々に内陸部にシフトしている状況だ
▼県内の主な計画施設は、流山市の「GLP流山」「Dプロジェクト流山」、柏市の「GLP柏Ⅱ」「ロジポート柏沼南」、印西市の「グッドマンビジネスパークステージ2」、船橋市の「MCUD船橋西浦」。このほか、成田市でセイノーHD、木更津市でドウシシャが新設を計画している
▼内陸部への立地増加は道路網の整備と密接に関係する。常磐道沿線は都心への好アクセスに加えて、圏央道の茨城県区間の今年度内開通予定などが評価されている。印西市への立地も成田空港と都心部を結ぶ北千葉道路の整備進展が前提となっており、圏央道未開通区間の大栄~松尾横芝間でもその開通を見越して、成田周辺に新たな用地を物色する動きもみられるという
▼道路網の整備進捗は、物流業だけでなく多方面に影響を与える。アクアラインの料金引き下げや圏央道延伸による効果は接岸都市や沿道都市に商業や観光、雇用などの各方面で見られ、定住人口の増加や製造業の立地などにもつながっている。道路網の整備はまさに経済活性化の「要」であり、これを抜きには産業集積も望めない。都心部への良好なアクセスを強みとして生かすためにも、圏央道や北千葉道路などの早期全線開通が急がれる。

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