コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2016/11/29

待ったなしの担い手確保

▼建設業に関する様々な試算や見通しを見るにつけ、担い手の確保・育成の必要性を痛感させられる。国交省関係者からは、深刻な人手不足はまだ先で、当面は何とかなるとの声も聞かれるが、いまでも人手不足感があるのだから、将来はどうなってしまうのかと不安が募る
▼ピーク時との比較では、2016年度の建設投資額が約38%減の約52兆円、建設業者が約47万業者で約22%減、建設就業者が500万人で約27%減。確かに業者や就業者の数より投資額の減少割合が大きく、当面は持ちこたえられるとの理屈にもなる。建設技能労働者の過不足率でも、数字上は労働力が現状ほぼ確保されている
▼しかし百歩譲って当面は乗り切れるとしても、中長期的には深刻だ。国では技能労働者の処遇改善や改正品確法等の趣旨徹底、若者・女性の入職促進の強化など、担い手の確保・育成への取り組みを次々と打ち出しているが、生産性の向上とあわせてこうした施策を進めていかなければ建設業の未来はない
▼現在の技能労働者の年齢構成で65歳以上の高齢者は現在42・4万人で、40~44歳の47・7万人に次いで多い。一方で20~24歳は13・9万人、15~19歳は2・6万人にとどまっている。10年後には60歳以上の大半が引退すると見込まれ、若年入職者の確保・育成は喫緊の課題だ
▼コーホート分析によれば、10年後の技能労働者は現在の330万人から286万人まで減少。建設市場規模の見通しを踏まえると、25年に必要な技能労働者数は333~379万人と試算され、47~93万人の差分(不足)が生じる。この不足をいかに埋めていくか
▼国交省では増加要素として、①若年層等(34歳以下)の入職・定着が過去の高水準時のレベルまで達する場合15~28万人②中堅層~高齢層の直近の高水準が継続する場合21万人③生産性が向上(約1割の削減)する場合30~34万人を見込んでいる。あくまで希望的観測ではあるが、この3つの要素を可能な限り実現して、担い手の上積みを図る必要に迫られている。

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