コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/02/21

活気づく一宮サーフォノミクス

▼波を求めて多くのサーフィン愛好家が集まる一宮町。九十九里浜南端に位置する同町がサーフィンのメッカであることはよく知られているが、2020年東京オリンピックの競技開催地になるとまでは正直、予想しなかった。地元では「五輪誘致以前に、五輪の正式種目として認められるようサーフィンを盛り上げていこう」との思いがあり、そこからスタートした誘致活動が見事に実を結んだと言えそうだ
▼一宮町が東京五輪の動きに俊敏に対応できたのは、同町にサーフィン文化がしっかり根付いていたことが大きい。世界トップレベルの波に恵まれ、サーフィン環境も整っている。サーフィンに適した大きく、ゆっくり崩れていく波の来る所をこのサーフポイントと呼ぶが、同町の海岸はほぼ全域にわたってこのサーフポイントがあり、レジャーのみならず、プロを目指す人の鍛錬の場にもなっている
▼同町の人口はサーフィン人気や通勤利便性の良さなどから2011年まで増加を続け、12年以降は減少傾向にあるものの、その減少幅は長生郡市では極めて小さい。とくに子育て世代のファミリー層の転入者増が目立ち、町内の児童生徒数も近年は安定的に推移。これも、子育て世代のサーフィン愛好家が同町に移住してきたためと推測される
▼町ではサーフィンの活用をまちづくり構想に盛り込んだ「一宮版サーフォノミクス」を推進している。15~19年度の5か年計画で、①サーフストリート構想②都市軸の整備③雇用創出と事業創出④子育て支援と個性ある教育の推進⑤シティプロモーション――の5つの柱で構成。こうした事業を通じて町全体を活性化させ、五輪終了後も若者や子育て世代が定住し続けるまちづくりを目指している
▼五輪の競技開催地決定により、同計画が大きく前進することは間違いない。同町ではすでにサーフィンの国際大会開催などを通じて来訪者に対するおもてなしの心が醸成されており、今後は道路や公共交通の整備など会場周辺のインフラ整備が重要課題となる。

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