コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/10/29

早期実用化めざす洋上風量発電

▼先週報道陣に公開されて注目を集めた、銚子市沖の洋上風力発電施設。海面からの高さが約126m、風車の直径が約92mというから、目の当たりにしたら、さぞ壮観だろう。風車の土台を海底に固定させる「着床式」で、沖合設置型としては国内最大という。再生可能エネルギーとして期待される洋上風力発電のさきがけとなりうるのか
▼独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京電力が約35億円の事業費をかけて設置したもので、設置場所は銚子市の沖合約3㎞地点。1年を通じて風が吹き、波も高く、耐久性などを調べるのに適していることから建設地として選定された
▼研究開発は、風車の基礎部分を鹿島建設、洋上風車や運転保守技術を三菱重工が担当。来年1月の発電開始を目指しており、出力は2400t^。一般家庭1200戸分の電気を賄える。近くには高さ100mの観測棟も立ち、これらを合わせた総工費は約50億円にのぼる
▼洋上風力発電には「浮体式」と「着床式」があるが、双方にメリットとデメリットがある。着床式は安定して発電できる一方で、建設費がかさみ、水深50mを超えると採算性も悪化する。浮体式は発電に不安定さが残るほか、技術的にも研究段階にある。今後は両者の優位性を含めた比較検討も必要になってくる
▼銚子市沖の施設では来年1月から2015年3月まで、台風や地震への耐性や効率的な運用方法の調査が行われる。こうした実証実験を通して、ノウハウを蓄積し、洋上風力発電の早期実用化につなげたい。

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