コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/03/28

米大統領就任で試される環境対応

▼「米国がくしゃみをすれば、日本が風邪をひく」とはかつてよく言われたが、トランプ米大統領の誕生によって、そうした構図がぶり返すのではないかと気がかりだ。トランプ大統領に関する各種報道に一喜一憂する企業の反応を見るにつけ、そんな懸念が頭をよぎる
▼17年の国内景気は、中国や米国経済の拡大や為替円安から輸出企業を中心に業績が回復し、これに伴う賞与等の分配増などで個人消費を押し上げるトリクルダウン(富の波及)が想定されている。ただし、トランプ米大統領が①TPP脱退の大統領令に署名②米国外に投資する日本企業を名指しで批判③日銀の金融緩和を円安誘導策と発言――など、保護主義に向かう先行き不透明感も強く、17年景気の標準シナリオからのかい離リスク(ボラティリティ)も根強くある
▼トランプ政権による保護主義策に対する警戒感は、当然ながら県内企業にも広がっている。ちばぎん総合研究所が昨年12月から1月にかけて県内企業を対象に実施したアンケートでは、新大統領就任によりマイナスの影響が生じるとみる企業の割合は18・3%で、プラスの影響があるとした企業の1・4%を大きく上回った。マイナスの影響としては「世界政治経済情勢の不確実性拡大」が53・8%で最も多く、「為替円高化」(38・5%)。「TPP批准の遅れ」(25・6%)などが続く
▼ただ約8割の企業は「影響なし(不明を含む)」と答え、米国景気の拡大に伴う需要の増加に期待を寄せる声が目立った。建機部品製造業では、新大統領の掲げる巨額のインフラ投資による北米の建機需要の高まりに期待する声があった。逆に総合建設業からは「公共投資の増加などで内需中心の経済成長を進めるべき」と、海外動向に左右されない成長実現に期待を寄せる声も聞かれた
▼新大統領の過激な発言がクローズアップされがちだが、冷静な見極めも必要だ。過剰に一喜一憂することなく、変化に対応していくための「環境対応力」を高める努力こそが大切だろう。

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