コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/06/20

チバニアン申請で整備急務

▼気が遠くなるほど壮大な話に、頭で理解するのはなかなか難しい。地球の歴史では過去に何度も地磁気の反転が起こっており、最後に磁気が南北で逆転する現象が起きたのは約77万年前という
▼この約77万年前から12万6千年前までの「第四紀中期更新世」と呼ばれる年代を「チバニアン」(千葉時代)と命名することを目指す日本の研究チームが、本県・市原市田淵の地層をこの年代の基準地とするよう国際学会に申請することが発表された。地球のN極とS極が逆転した痕跡が、ここ田淵の地層に精度よく見られるとの理由からだ▼認められれば、来年中にも地球の地質時代に初めて日本由来の名前が付くことになる。地球の歴史に千葉の名が刻まれると考えるだけで胸躍る話だ
▼ただチバニアン命名には、イタリアの候補地2か所との争いに勝たなければならない。イタリアの候補地には「イオニアン」の名称が提案されているそうで、何やら立派な響きの名称だが、名前負けしてはいられない
▼地元の市原市は、地層を国の天然記念物に指定するよう7月にも文化庁に申請する方針といい、今後は周辺の環境整備も課題となる。指定されれば国の補助金で周辺整備を進められるが、とりあえず今からでもできることを進めたい
▼地層ができた順序はイタリアの候補地よりも市原市田淵のほうがきちんと保存されているが、説明看板やルートなどの整備面では後れをとっているとの声も聞く。地元ではボランティアなどにより草刈りなどの活動が進められているが、他候補とのし烈な争いに勝つためには、行政の早急なてこ入れが必要だ
▼命名争いは年内にも事実上決着する予定で、猶予はあまりない。一帯は知名度が向上したことで見学者が増えているが、地層までの道の整備も十分ではない。整備によって、むやみなサンプル採取などの防止にもなる。高校などでは理科で地学を選択する生徒が少ないと耳にする昨今、地学の普及・啓発につながるこの地層の価値を大いに活かしたい。

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