コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/12/26

20秒差の謝罪は美徳

▼つくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道が定刻より20秒早く発車したことを謝罪し、そのことを欧米メディアが相次いで報道したことが話題になった。欧米メディアには「遅れや運休でもないのに」という驚きの論調もみられたが、日本の鉄道がいかに時間に正確かを物語る話題とも言える
▼11月14日に流山市の南流山駅に着いた下り電車が定刻よりも約20秒早く発車したことに対し、同鉄道会社はホームページに、乗務員の確認不足が原因で「深くお詫び申し上げます」と掲載。これに対し、電車の遅延が頻発するニューヨークの大衆紙などが「これは問題か」と提起した
▼同社はこの20秒早い発車について乗務員に「基本動作を徹底するよう指導した」といい、「謝罪は同社の基準に基づいており、今後も同様の対応をする」としている
▼これがネットニュースで報じられると「ニューヨークの地下鉄なら、謝罪のためだけに職員が必要だ」とツイッターなどで話題になり、そこまで細かく公表する必要があるのかといった驚きの声や揶揄するかの意見まで出た
▼確かに20秒の差で謝罪すべきか、謝罪の基準は奈辺にあるかといった議論はありうるが、鉄道の運行が正確であるに越したことはない。実際、英BBCや米FOXは「日本に関して最高のことの一つ」とツイッターの好意的な投稿を紹介している
▼言わずもがな、日本の鉄道の正確性は世界的に定評がある。ニューヨークでは今年5月には6万7000回を超える遅延が発生したというが、だから多少の遅延なら許されるということにはならない。ニューヨークの大衆紙デーリー・ニューズも「日本の駅の交通量は世界的にも多いが、効率の高さで知られている」と述べている
▼小さなミスでも利用客に配慮する基本姿勢は素晴らしいことで、鉄道会社が細心の注意を払って電車の運行を心掛けていることが今回の一件からもよくわかる。現場の人たちの細やかな仕事ぶりを、日本の美徳と考えてもいいのではないだろうか。

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