コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2018/05/29

急がれる離職防止対策

▼各方面の業界で「人手不足」の声が出始めてから、すでに久しい。生産年齢人口の減少と内外経済の堅調により労働需給が確実に引き締まりつつあることは間違いないが、そもそもの採用の難しさに加えて、退職者が多いという問題も見過ごせない
▼厚生労働省の調査によると、1年間で、一般労働者の入職率が11%(ほぼ9人に1人)であるのに対し、これとほぼ同数が離職している。パート労働者に限れば、両比率はさらに高く、入職率が29%、離職率が26%で、ほぼ4人に1人に達している。コストをかけて採用・養成した人材が離職していくのは、実にもったいない話だ
▼ここ数年の動向をみると、常用労働者、一般労働者、パート労働者を問わず、両比率ともほぼ上昇傾向にあり、しかもほぼ同程度の比率となっている。入職率が上がる一方で、離職率も上がる傾向が続いている。2010年と16年を比べると、常用労働者は入職率14・3%/離職率14・5%に対し15・8%/15・0%、一般労働者は10・9%/11・3%に対し11・6%/11・4%、パート労働者は24・2%/24・1%に対し29・0%/26・0%となっている
▼企業や経営者にとっては、確保した人材をいかにつなぎとめるかも大きな課題になっている
▼具体的な離職防止対策としては、①採用時の選考をしっかり行い、向いていない人は採用しない②雇用条件をできるだけ詳細に説明し、入社後の不満の発生を防ぐ③指導に当たる時間が取れるよう仕事を見直す④スマホや動画などを活用し、新入社員でもわかりやすいマニュアルの整備を図る――などが挙げられる。また、経営者が定期的な面談により、社員の不満を聞いて助言を与え、企業理念を伝えることも、社員のモチベーションを向上させる点では有効だろう
▼賃上げはもちろんのこと、子育て世代を支援する環境づくりや働きすぎ是正等の働き方改革などの面からも、関係者による知恵と工夫が、入職の促進のみならず、離職の防止にもつながっていくと考えられる。

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