コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/12/19

疑問符つく消費税増税論議

▼やむを得ないことはわかっているが、納得がいかない-。消費税率引き上げについて、そんな思いを抱いている人は多いのではないか。やるべきことをやらず、国民に負担を押しつける「増税ありき」の議論では、国民の理解は得られない
▼特殊法人や独立行政法人の整理、国会議員や国家公務員の人件費見直しなど、増税の前提となる「無駄の削減」は遅々として進まず、増税議論だけが先行している
▼高齢社会の到来で社会保障費は毎年1兆円のペースで増え続け、とりわけ年金財政は危機的な状態にある。社会保障制度を安定的に維持するために、増税議論が避けて通れないことはわかる。ただし増税を議論するのであれば、その前に徹底した歳出削減の努力をすべきだ。消費税が増税されれば、国民は東日本大震災の復興増税と、11年度税制改正に伴う増税を加えた三重苦を強いられることになる
▼消費税増税は中小企業にとっても死活問題だ。現在でも経営が苦しく消費税を「滞納」している中小企業が少なくない。価格に消費税を上乗せできず、負担を抱え込むことになるためだ。法人税は赤字なら支払わなくても済むが、消費税は赤字でも納税しなければならない。5%でも苦しいのに10%にもなったら……と、頭を抱える中小企業は多いだろう
▼最新の世論調査では、消費税率引き上げには賛成と反対がほぼ拮抗している。しかし、本音と建前のはざまで、数字に示されない要素もある。徹底的に無駄を省いて財源を見いだし、それでもだめなら痛みを分かち合うというのが本筋ではなかろうか。

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