コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2020/01/21

喜ばしいチバニアン決定

▼本県にとってうれしい知らせとなった。国際地質科学連合が17日、約77万4000~12万9000年前の地質時代を「チバニアン(千葉時代)」と呼ぶことに決めた。市原市にある地層がこの時代の始まりを明確に示していると判断されたためだ。地質年代に日本の地名が付くのは初めてで、名誉なことと言うほかない
▼チバニアンを巡っては、認定に反対する男性が土地の借地権を取得するなど審査が足踏みする曲折もあっただけに、とりわけ関係者の喜びと安堵はひとしおだろう。今回の決定に「正直ほっとした」との声が多く聞かれたのもむべなるかな
▼命名申請から2年半。チバニアンが国際的に認められるよう調査してきた研究チームにとって長い歳月だったに違いないが、曲折を経るごとに結束が増し、そのチーム力が実を結んだ。今回の決定が文化や学術にとどまらず千葉の発展に寄与し、観光など各方面への起爆剤となることを期待したい
▼昨秋の台風15号が来襲した際には地層崩壊の危機もあったが、幸い地層そのものは無事だった。さらに台風21号の大雨では養老川が増水し、見学のために設置していた階段が流されたり流木が散乱したりする被害が出て、見学者の立ち入りが約1か月半にわたりできなくなった
▼市が急ピッチで復旧に当たり、年末までに見学施設をオープンさせるなどして、今回のチバニアンの認定に間に合わせた。研究チームをはじめ地元や行政、民間企業などが「ワンチーム」となって手にした決定であることを忘れてはならない
▼命名が決定したチバニアンは、ちょうど人類(ホモ・サピエンス)が登場したころの時代にあたる。約77万年前に地球のN極とS極が逆転したこの時代の痕跡が市原市の地層にはっきり残っていることが、決定の決め手となった
▼あまりに壮大な地球史に関する話で、説明を聞いてもなかなか実感しづらいが、県内の地層が地球46億年の歴史に名を刻んだことには計り知れない意義がある。チバニアンが世界中の教科書に載る日がいまから待ち遠しい。

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