コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2020/06/01

感染抑止の評価

▼新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が首都圏の1都3県でも解除され、徐々に社会に活気が戻りつつあるが、当面は感染第2波に最大限の警戒を払わなければならない。街中の活気を手放しでは喜べない状況が続く
▼政府の専門家会議が例示した「新しい生活様式」にしても、社会・経済活動の制限や自粛要請を経た今もなお、すんなり行動に移せるものばかりではないが、示された実践例を参考に細心の注意を払いながら日々を過ごしていくほかあるまい
▼いずれ習慣として自然と身についたとしても、そうなった時の社会のありようは、「アフターコロナ」としてさまざま論じられるように、従前とはずいぶん違ったものになるだろう。新型コロナウイルスが私たちの生活を大きく変えることは間違いない
▼それにしても日本は、はたして新型コロナの流行抑止に成功したと言えるのだろうか。当初は日本の検査体制や、強制力のない緊急事態宣言の効果を疑問視していた欧米メディアは、現状を驚きの目で見ているようだ
▼5月23日時点で、日本の10万人当たりの累計感染者数は主要7か国(G7)で13・2人と最も少ない。一方、検査数は最少の212・8件で、最多のイタリアのわずか4%ほどだ。死者数も、アジア・オセアニア地域の多くの国は日本の0・64人を下回る
▼それでも新型コロナウイルスを抑え込んだかに見える日本の状況を、海外メディアは「不可解な謎」「成功物語」などと論評。ある米メディアは「何から何まで間違っているように見えるが、不思議なことに全てがいい方向に向かっている」と伝えている
▼欧米の国々よりも幸運に恵まれただけなのか、あるいは優れた政策の成果なのか。単にマスク文化など日本の生活習慣が奏功しただけかもしれず、間違っても国の優れた政策の成果とは思えない。何せ、給付は遅く、その多くはいまだ申請者に届かず。あの、悲しくなるほどささやかな「アベノマスク」でさえ、筆者の周囲でその姿を見た者は皆無に等しい。

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