コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/07/31

被災住宅再建、足踏み状態からの脱却を

▼東日本大震災から500日以上たつというのに、わずか1%とは思わず目を疑った。先日報道された、東北の被災3県における災害公営住宅(復興住宅)の着工割合だ。約2万3300戸に及ぶ防災集団移転も思うように進まない状況といい、被災者の住宅再建は完全な足踏み状態に陥っている
▼復興住宅は東北3県で約2万戸の建設が予定されているが、これまでに着工したのは岩手159戸、宮城12戸、福島58戸の合計229戸で、全体のわずか1%程度でしかない。最大のネックは建設用地の確保で、仮設住宅で公有地を使い切り、高台の平地が少ないことや、一定の広さの土地は複数の地権者との交渉に時間がかかることなどが理由として挙げられる
▼仮設住宅ではいまなお約27万人が避難生活を強いられており、被災から時間がたつにつれ、収入が途絶えて自力再建をあきらめる被災者も増えている。仮設住宅の居住期限が来たら復興住宅に移るしかない被災者にとっては、着工の遅れに焦燥感も募るだろう
▼現状では、仮設住宅の居住期間が終わる2014年度までに、岩手、宮城の両県で7000戸近くの復興住宅の建設が間に合わないという。しかし、仮設住宅はあくまで“仮設”にすぎず、言うまでもなく恒久住宅の整備は急務である。国土交通省では「各自治体のまちづくり計画が固まってきているので、これから建設は加速する」としているが、これまでの状況を考えると、はなはだ心もとない。防災集団移転の問題と合わせて、行政は一刻も早く有効策を打ち出すべきだ。

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