コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2020/06/30

リスクはらむワンフレーズ政治

▼かの東京都知事が、自民党都連を「ブラックボックス」と批判し、291万票を得て初当選してから、4年が経った。2017年の「希望の党」結成時の「排除します」発言で反発を招くなど、この間の浮沈も激しかったが、コロナ禍で小池氏のメディア露出は再び一気に増した
▼インパクトあるフレーズを重視し、横文字を連発して都民に警戒を呼びかけるその姿からは、小池流の「ワンフレーズ政治」の復活を見る思いがする。とくに今年3月に入ってからは、まさに小池節全開の様相だった
▼患者の爆発的急増を意味する「オーバーシュート」。「ロックダウン」は都市の封鎖。大型連休前には「今年はゴールデンというわけにはいかない。命を守る『ステイホーム週間』」と命名した。感染拡大への警戒を呼びかける際には「東京アラート」を発出した
▼こうしたワンフレーズの命名には天賦の才があると言わざるを得ない小池氏。テレビキャスター出身で、インパクトのあるフレーズを繰り返す政治手法は、17年の「排除します」発言を持ち出すまでもなく、まったく変わっていない
▼ゴールデンウィークを前にした4月23日に「ステイホーム週間」と名付けたことで、外出自粛や在宅勤務を促した点などでは一定の評価ができよう。ただし強い言葉は、世の中に影響を与える発信力が高い一方で、一歩間違えると世の中の反発を受けるリスクと隣り合わせだ。そのことは小池氏自身、誰より自覚しているに違いない
▼ある有識者は「『排除』という強い言葉で、国政をかき乱し、後片付けをせずに立ち去る構図は、いったん止めた豊洲市場への移転問題でも繰り返された」と手厳しい。さらに「東京アラートの解除は都知事選への出馬のタイミングを意識しすぎた」と指摘する
▼都知事選は18日に告示され、7月5日の投開票へ向け選挙戦の真っただ中だ。小池氏のワンフレーズ政治がこれからも続くのか、そうした政治手法がこの先どれほど通用するものなのか、しかと見極める必要がある。

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