コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2020/09/08

ベストを尽くすべき防災対策

▼9月1日が「防災の日」とされたのは、意外に古く1960年で、制定からすでに半世紀を超える。今年はコロナ禍という異例の状況下だったが、感染拡大に配慮しながらも様々な運動が展開された
▼近年の度重なる災害発生もあって、防災訓練は全国各地で盛んになりつつあり、防災意識も確実に浸透していると感じる
▼防災の日はこうした実地の訓練以外にも、各自の備えを見直す機会になる。あるアンケートでは「防災対策をしているか」との問いに、約8割の人が「はい」と答えている
▼具体的に何を実行したかを聞いたところ、上位は「水の備蓄」「懐中電灯・ライトの用意」「食料の備蓄」「携帯ラジオの用意」「家具の転倒・落下防止」。一方で「いいえ」と答えた約2割の人は「つい先延ばしにしている」「対策にはきりがない」と答えた
▼対策している人でも、それが十分なのか自信を持てない人が多いという。備えが的確かどうかわからず、防災に絶対は存在しない。事前の準備には限界があり、数多くの災害全てに対応するのは極めて難しい
▼ある防災アドバイザーによれば「食料の備蓄や防災グッズに意識が向きがちだが、それが役に立つのは災害で死ななかった後。最も大切なのは、災害時に命を落とさない準備」と指摘する。なるほどその通りだと得心する
▼具体的には、建物対策・屋内対策、とくに家具の固定が最重要。ほかにもLEDライト、軍手、折りたたみスリッパ、ホイッスルの4点を枕元など身近に置くことを薦める。夜など地震で部屋に閉じ込められたり身動きできなくなったりしたとき、暗い中ガラスなどが散乱する屋内で行動するのに役立つという
▼結局、防災対策に完璧はないと肝に銘じつつ、一つひとつしっかりスピード感をもって各自が備えるしか道はない。災害時の行動や防災について家族で話し合っておくことも重要になる。いずれにせよ、最も痛感させられたのが恥ずかしながらわが身の防災意識の低さだった。自戒を込めて備えを急ぐことにする。

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