コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2020/11/17

身長決める要因の不思議

▼筆者のような比較的小柄な者には、背の高い人が羨ましくもある。たぶん10㎝も身長が高ければ、視界に入ってくる景色もずいぶん違うだろうと想像する。そんな景色を日常的に拝めたらなどと思いはするものの、それはまあ、ないものねだりというものだろう
▼最近、10㎝どころか20㎝ほども背の高い190㎝近くある若者と話す機会があった。その人いわく、自分と同じ高長身の人と街中などで出くわすと、一瞬お互いにけん制し合ったりするのだという。それがどのような感情からくるものか、興味深いが分析は難しそうだ
▼国立成長医療研究センターの調査によれば、日本人の平均身長は100年前から約15㎝も伸びてきたが、1978~79年をピークに、以降20年間低下傾向にある。その原因としては、2500g以下で生まれる「低出生体重児」の増加にあると考えられている
▼そもそも背の高さはどのように決まるのか。研究によれば、身長が決まる原因の約8割は「遺伝」、残る2割ほどが栄養状態などの「環境」とされる
▼確かに背の高い人に聞けば、両親や兄弟も高身長という場合が多い。その仕組みはDNAにあるそうで、その「微妙な違い」によって身長が変わってくることが、最近の研究で分かってきた。日本人の場合、DNAの573か所の「微妙な違い」が身長の差に影響していることが明らかになっている。そのうちの1か所だけで身長が2㎝近く高くなったり低くなったりすることもある、何とも複雑なものらしい
▼筆者が出会った前述の若者の場合は、両親も兄弟もとくべつ背が高いわけではなく、自分だけが高身長なのだという。本人の弁では、幼少期からとにかくコーンフレーク(シリアル)に牛乳をかけて食べていたとのこと。この場合は、どうやら「遺伝」というより、栄養などの「環境」による2割のほうにあたるのだろう。勝手にそんなことを考えながら、自分より頭一つほども高いその若者を、当方しきりに見上げるばかりだった。

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