コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2020/12/08

木造建築の匠が遺産に

▼日本の宮大工や左官職人らが継承する「伝統建築工匠(こうしょう)の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が無形文化遺産に登録される見通しになった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関が登録を勧告したと、文化庁が先月発表した。建設業界にとっては大変喜ばしいニュースだ
▼対象は木工や左官など17分野の技術で、列挙すれば①建造物修理②建造物木工③檜皮葺・柿葺④茅葺⑤檜皮採取⑥屋根板製作⑦茅採取⑧建造物装飾⑨建造物彩色⑩建造物漆塗⑪屋根瓦葺(本瓦葺)⑫左官(日本壁)⑬建具製作⑭畳製作⑮装こう修理技術⑯日本産漆生産・精製⑰縁付金箔製造
▼いずれも古代から度重なる工夫によって連綿と受け継がれてきた伝統建築匠の技だ。社寺や古民家の修理に不可欠で、長い歴史の中では身近な技術であり、奈良の法隆寺をはじめとする日本の伝統的な木造建築を支えてきた
▼国は文化財保護のため、これまでに「選定保存技術」に選定し、保存・支援を続けてきた。全国10都府県にある各保存団体も技術の継承に取り組んでいる。こうした関係者の尽力が今回の無形文化遺産登録として実を結んだ
▼ただ、現代では対象技術を活用する場が減ってきている上に、少子高齢化や家族内伝承の減少などから、将来的にどう技術を維持・継承していくかが大きな課題となる
▼伝統建築工匠の技は2018年にも申請がなされたが、登録審査の件数が上限を超えていたなどの理由で19年の審査が見送られた経緯がある。今回の審査で登録勧告に至ったことには大きな意義がある
▼日本では近代化以降、とくに大型建築などで西洋化の流れが続いていたが、最近では大型建築物にも木造を取り入れる事例が目立っている。日本の建築物には大なり小なり、古くからの伝統技術が息づいてきたようにも思える
▼木や草、土などの自然素材を使って災害に耐える構造をつくり出してきた日本の伝統的な建築文化を、この機会に見直すことで、匠の技への認識を深め、地域の活力にもつなげたい。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ