コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2020/12/22

挽回したい「誕生月格差」

▼誕生日が3月半ばの筆者は、いわゆる「早生まれ」に当たる。幼少期には周囲からも「早生まれだから」と、何かと不利の言い訳にされ、正直、あまりいい思い出はない。学校で背の低い順に並べば前のほう、誕生日順なら当然、後ろのほうだった
▼言うまでもなく、早生まれとは「1~3月(4月1日を含む)」を指す。筆者の経験に照らしても、早生まれの不利は幼少期によく当てはまるが、実はその後も長く引きずるようで、大学進学や賃金水準、スポーツなど幅広い面で「4月2日」以降に生まれた方が有利との研究結果が出された
▼3月生まれと4月生まれを比べると、入学した高校の偏差値は4月生まれの方が平均で4.5ポイントも高くなった。大学の進学率や大手企業に就職できる割合も4月生まれが優位との結果だそうで、「誕生月格差」は長期化・固定化する点で深刻な問題だ
▼30~34歳の男性の場合、1~3月生まれは4~6月生まれに比べて賃金水準が3・9%も低いとの研究結果もある。学歴や就職先にまで差が生じるとすれば、「早生まれ」の者としては腹立たしさすら感じる
▼とりわけスポーツの世界では格差が顕著で、プロ野球選手の誕生月は「4~6月」が34%なのに対し、「1~3月」は約半分の16%に過ぎない。野球選手に限れば、小学校より中学、高校と進むにつれて「1~3月」の割合が減少。調査した専門家は「心身の成長面で不利になり、練習や試合機会が十分に与えられないまま競技から離脱してしまうからではないか」と分析する
▼「9月入学」の導入も将来的に検討されている昨今。仮に実現すれば、今度は「6~8月」生まれが不利ということになるのだろう。現に9月入学が一般的な米国では、大手企業の経営者は「9~11月」の割合が多く、「6~8月」は少ないという
▼かつては「早生まれは得生まれ」とも言われたが、それも今は昔。ただし、早生まれをバネに努力を重ねて活躍した人たちが少なくないことも、最後に付け加えておこう。

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