コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2021/10/20

「ハンカチ王子」第2の人生へ

▼北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手が、17日のオリックス・バファローズ戦で現役最後の登板を終えた。プロ野球界において、引退する相手投手へのはなむけとして三振することは決して珍しくないが、栗山英樹監督は、千葉ロッテマリーンズと激しい優勝争いを繰り広げているオリックスに真剣勝負を要請した
▼7回表、4対3の場面。エース・上沢直之投手に代わり2番手として登板した「背番号1」が、打者の福田周平選手に渾身の7球を投じた。直球の最速は129km/h。変化球も織り混ぜた
▼結果は、プロ生活155度目の与四球。マウンド上では気丈に振る舞ったが、ベンチで栗山監督に声を掛けられると、感情が溢れ出た。試合後の引退セレモニーの花束贈呈でも、涙が止まらなかった
▼プロ生活11年で、89登板、364・2投球回、15勝26敗、防御率4・34の成績。早稲田実業学校高等部のエースとして夏の甲子園で活躍し「ハンカチ王子」として一世を風靡、4球団競合の末にドラフト1位で入団したことに鑑みると、満足できる数字は残せなかった。インターネット上では数日前から、引退セレモニーの開催について「成績に見合わない」と指摘する投稿もあった
▼しかし、プロ野球はファンがいなければ決して成り立たない世界だ。斎藤投手はその人気で、球団に留まらずプロ野球界全体に対して間違いなく貢献してきた。そして、浮上のための努力を絶やさず、けがや不振に見舞われながらもあらがい続けるその姿は、若手選手の手本となったに違いない。引退セレモニーで2軍選手たちが斎藤投手の登場曲・勇気100%を合唱したことこそ、その証にほかならない
▼ユニフォームを脱いだ後の去就は明らかになっていないが、斎藤投手は引退あいさつの結びに「きっとまたお会いしましょう」と呼び掛けた。高卒新人でのプロ野球界入りを待望する声も多い中、自らの信念を貫き大学進学を選んだ過去からすると、すでに第2の人生を思い描いているのかもしれない。(♏)

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