コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/09/25

考えさせられる国語世論調査

▼言葉も誤用が本来の使い方を上回れば、市民権を得て慣用句となる。文化庁が発表した「国語に関する世論調査」に、そんな思いを深くした。たとえば「失笑する」の意味を60%が「笑いも出ないほどあきれる」と誤答したそうだが、笑ってしまいそうな回答も、市民権を得れば笑えなくなる
▼「すごい速い」「むかつく」「1コ上」などの表現を日常会話で使う人の割合は半数にのぼる、との調査結果。確かに「むかつく」などは、いまやどこでも耳にする。新しい表現は、使う人の割合が半数を超えると加速度的に増えるとの分析もあり、一時の<RUBY CHAR="流行","はやり">のようにすたれていくものがある一方で、そのまま定着していくものもある。それはそれで自然な気もするが、誤用が普通になれば、本来の使い方がどうなってしまうのかは気がかりだ
▼新しい表現の使用度は30代までの年齢層が押し上げ、中高年層への浸透は鈍い。言葉の本来の意味の理解度は年齢とともに正比例、逆に新しい表現の理解度は反比例する傾向にある。新たな時代の潮流をつくるのは若者ということになるのだろう
▼電子メールなどの情報交換手段の多様化により、「漢字を正確に書く力が衰えた」とする人も66・5%にのぼった。他人事ではなく、筆者も無意識にすらすら書いているかと思えば、はてどんな字だったかと立ち止まると、途端に詰まってしまうことがある。われわれ新聞業界でも、取材時から執筆、編集時に至るまで実際のペンを持つことが少なくなった。だからペンの力が衰えた、などと言われぬように努力したい。

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