コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/09/05

県内人口減少は複合要因

▼県内人口が昨年初めて減少に転じた主な要因は、東日本大震災による液状化や放射線関連の風評被害とする分析結果を、県がまとめた。具体的には、県外への転出増加ではなく、県内への転入が減少したことを挙げ、都内への転勤や入学で千葉県へ転居を予定した人が、同じ東京通勤・通学圏の埼玉県や神奈川県に流れた可能性を指摘している
▼地域別の変動では、これまで人口増加をけん引してきた葛南地域・東葛飾地域・千葉地域の減少が目立つが、一方で、千葉市や船橋市、印西市等では新築マンションの好調な分譲により今年4月に人口が増加したことから、県内の住宅への需要が薄れたという悲観的見方は妥当でなく、むしろ復興事業などにより物理的にマンションの建設・供給が遅れたことを理由に挙げている
▼人口減少の全体的な要因分析では、震災の影響を一時的要因とし、ほかに日本全体の人口減少という長期的要因と都内回帰という中期的要因が複合的に働いていると結論づけた。こうした中長期的要因がある以上、人口動態傾向がもとのトレンドに回帰しても、その増加幅が以前の水準まで戻ることは望めない
▼人口は、今後確実に到来する少子高齢社会を維持するための社会投資を支える源だ。まずは一時的要因について緊急の対策を進めることで液状化や放射線関連の風評を払しょくし、一過性のものとして終息させる必要がある。さらに要因そのものをもう一度正確に認識し、県民・企業・自治体が一体となってソフトランディングのための施策を展開していくことが求められよう。

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