コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2022/06/22

都心で減ったカラス

 東京都心のカラスが減ったという。ねぐらに集まるカラスの調査では、20年前のピーク時に比べて7分の1ほどというから、大幅な減りようだ。ならばわが町・千葉市はと周囲に注意を払えば、確かに一時期より減った気もするものの、依然としてあちこちで鳴いて我が物顔で闊歩している
▼都心では2021年12月期で前回15年の4816羽より約4割少ない2785羽。ピーク時だった00年に比べると85%も減った。都内40か所で毎年行っている調査でも、最多だった01年度の3万6400羽から、20年度には1万1000羽と減少が続いている
▼理由としては、都が01年度から本格化させた駆除の取り組みに加え、新型コロナの影響でエサとなる繁華街の生ごみの減少が考えられる。コロナ禍は市中のカラスにまで大きな影響を与えたようだ
▼初めて緊急事態宣言が出された20年4月には、飲食店や事業系ごみが前年同月比で約4割も減った。さらに都は、ごみを深夜や早朝に回収してカラスのエサになるのを減らすほか、巣の撤去や罠による捕獲なども続けてきた。都がこれまで捕獲したカラスは約23万羽に上り、カラスによる苦情も20年間で9割減ったという
▼さて千葉県はというと、撤去・駆除を積極的に行っている自治体はまだ少ないようだ。むしろ撤去や駆除を禁止している文言が自治体のホームページなどでは目に付く
▼カラスに限らずすべての野生鳥獣は、鳥獣保護法により許可なく捕獲したり処分したりできず、「鳴き声がうるさい」といった理由だけでは捕獲できない。ただし、威嚇されたり農作物等への被害を受けたりした場合は、巣の中に卵やヒナがいなければ巣を撤去することが可能で、その場合も土地所有者や施設管理者が自ら行うとされている
▼カラスの被害を減らすには、まずエサとなる生ごみを減らすなど、人間側の工夫や努力が不可欠だ。エサとなるゴミが多ければ、他から別のカラスが集まって根本的な解決にはつながらない。まずは各自ができることから始めたい。

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