コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2013/01/08

耐震強化急がれる老朽コンビナート

▼東日本大震災時に市原市のコスモ千葉製油所で起きたLPGタンク火災を、ご記憶の方も多いだろう。ガスタンクの脚部破断が3件発生し、ガスボンベやタンクローリーの一部が津波に流されるなどしたこの事故は、都市部に近接するコンビナートの危険性を浮かび上がらせた
▼全国85か所のコンビナートは大震災後も抜本的な液状化対策や津波対策が講じられておらず、政府は主要コンビナートの防災強化に乗り出す方針を固めた。本県が抱える京葉工業地帯も、首都直下地震が想定される東京湾のコンビナートとして重点的な耐震調査が行われる見通しだ
▼京葉地区では東京湾岸部に沿って、京葉臨海北部、京葉臨海中部、京葉臨海南部の3地区が特別防災区域に指定されている。面積、石油貯蔵・取扱量及び高圧ガスの処理量の各合計はいずれも全国1位で、我が国最大のコンビナート地帯だ。被災時には壊滅的な被害を受ける恐れがある
▼コンビナートの震災対策が進まない背景には、施設の多くが民間企業の所有物であることが影響しており、今後は国と地方自治体の財政支援や民間企業との連携した取り組みが不可欠になる
▼太平洋ベルト地帯に集中するコンビナート施設の大半は1950~60年代の高度経済成長期に造られ、老朽化が目立つ。基準を満たしていない設備は、震災時に火災や爆発を起こす恐れがあり、「大都市のそばに巨大な火薬庫が置かれているようなもの」との指摘もある。コンビナートの耐震強化は老朽化インフラ対策の一つとして、待ったなしの重要課題といえる。

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