コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2013/02/13

どこでもは通用せぬ常識

▼先月都内で開かれた日本専門新聞協会主催の講演会で、講師を務めた作家の曽野綾子氏が、アルジェリア事件と絡めて、文化や慣習の違いでそこに生きる人々の見方や考え方がまったく異なることを、様々なエピソードを交えて力説されていた。常識は“我々の常識”でしかなく、広い世界で日本がどれほど平和で豊かな国かを改めて教えられた
▼飛躍はあろうが、日米の野球にもずいぶん感覚の違いがあるようだ。大リーグ球団のほかロッテでも監督を務めたボビー・バレンタイン氏が新聞紙上のインタビューで、大リーグに挑戦する日本人選手で野手の評価が低い理由としてビジュアルという要素を挙げていた
▼とくに内野手はビジュアル、つまり見た目が問題で、多くの日本人内野手の守備にはビジュアルな魅力が感じられない。「大リーグの内野手の多くはラテン系で、リズミカルに動き、シングルハンドで自在にボールをさばく。日本人にはそういった軽やかさ、ビートを刻む感じがない」と
▼そのリズム感があれば捕れない打球も捕れるかといえば、そういうことではないらしい。主観的な評価にすぎず、能力や技術とも別物だが、それこそが重要な要素という。リズミカルでない選手は、ファンの目にもグッドプレーヤーとは映らないそうだ
▼こうしたことは、スポーツマンシップのあり方の違いでもあろうし、ひいては文化や環境の違いによるものでもあるだろう。世界中どこであれ、どんな分野であれ、ところ変われば、まずは自分の常識というものを度外視してみる必要がありそうだ。

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