コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2013/02/18

注目のクリントン次の一章

▼他国の話とはいえ、これほど惜しまれて退任する閣僚も珍しいのではないか。そのエネルギッシュな仕事ぶりから、それも十分納得できる。今月1日で米国務長官として4年の任期を全うしたヒラリー・クリントンだ。「ロックスター外交官」と呼ばれる華やかさに風格も加わり、圧倒的な存在感を示していた。退任時には、鳴りやまぬ拍手のなか、多くの職員が幾重にも取り囲んだという
▼大国の外交を支える激務はいかばかりか、常人には想像もつかない。在任中の訪問国は新記録の112か国、出張日数は401日というから、その活躍ぶりは数字にも明らかだ。ASEAN地域フォーラムへも、前任のライス長官とは対照的に毎年出席するなど、アジア重視の姿勢も親近感を抱かせた
▼クリントンは「全米で最も優れた弁護士100人」に選ばれ、従来とは異なる先進的なファーストレディ像をつくりだし、その後もアメリカ政治の中心に居続けるなど、その人生は成功を絵に描いたように映る。しかし、少し前までは「鼻もちならない」「攻撃的」などと揶揄され、誰からも好かれる人物とは言い難かった。それが国務長官としての仕事を通じて、米国民の視線が大きく変わり、圧倒的な支持を得た。08年の大統領選でオバマに敗れたことが政治家としての器を大きくしたと見る向きもある
▼「いまは激務を離れて休みたい」と語るが、その姿をいずれまた見たいと思うのは筆者だけではないだろう。「人生の次の一章を楽しみにしている」と言うクリントンの次なる一章から、目が離せない。

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