コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2013/06/17

キョン対策

▼憎まれっ子世に憚るというのか、皮肉なもので、増えてほしい種の繁殖力は弱く、増えてほしくない種の繁殖力は強いという話はよく耳にする。以前に小欄でも触れたが、小型のシカで特定外来生物に指定されているキョンの増加が深刻化している。県の調査では、2011年度末で県内の生息数は推定1万7196頭で、5年間で5倍にも増えた。農作物への被害が出始めており、生態系への影響も心配される
▼キョンは国内では千葉県と伊豆大島で確認されている。県内の場合は、勝浦市にあった民間の観光施設(01年閉園)から脱走したものが野生化したとみられるが、初めて捕獲されたのは1983年。施設の飼育管理が不十分だったという従業員の証言もあり、80年代から野外で目撃されるようになった。高密度に生息する地域も現在では大多喜町、君津市、市原市、木更津市にまで拡大。生息数の多い勝浦市やいすみ市でも急増していると推定される
▼対策として11年度は前年度より約300頭多い1203頭を捕獲した。しかし増加数は6000頭で、現状では増加に追いつかない。このため、県は今年3月に防除計画を見直し、鴨川市など4市3町を集中防除区域として、5年後に半減させる目標を立てた。ただ、捕獲を請け負う猟友会のメンバーが高齢化で減少していることや、被害が大きいイノシシの対策に追われているといった課題も抱えている
▼筆者は以前、県内のイタリア料理店でキョンの肉の炭火焼を食したことがある。同じシカでもニホンジカなどとはずいぶん違い、鶏肉のような軽い肉質で、臭みやクセもほとんどなく食べやすかった。南房総地域ではすでにイノシシなどの解体処理施設が開設されており、こうした有害鳥獣を食肉として流通させる動きが活発化している。キョンについても、どうせ捕獲するなら、一部でも食用にするなどの有効活用ができないものか。まずは、キョンの肉の食べやすさを一人でも多くの人に知ってもらう機会を増やすことから始めるべきかもしれない。

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