コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2013/12/10

五輪会場

▼7年後の2020年はまだまだ先――と高をくくっていると、とんだしっぺ返しを食らいかねない。東京五輪招致の熱も冷めやらぬうちに、このほど明らかになった大会準備計画を見て、そう思った。とくに、新設される9競技場は16年の着工で、来年度には設計に着手しなければならない。待ち受けるタイトなスケジュールに気を引き締める必要がありそうだ
▼そう考えると、五輪の主会場となる新国立競技場の建設計画が二転三転している現状には、大丈夫かと不安を感じずにはいられない。先日示された修正案は、デザインのイメージは維持しつつも、駐車場や商業施設の面積を削り、延べ床面積も当初の設計条件の29万㎡から22万50000㎡へ約2割小さくなった。ただし収容人数は当初の8万人のまま
▼総工費は当初の設計条件では1300億円だったが、公募で選ばれたデザインが複雑なために、最大3000億円とする試算まで出された。さらに、新提案の修正案では1852億円という数字が示されている。建物が縮小されたとはいえ、この規模で総工費が倍以上も変わるのは前代未聞と言わざるを得ない。当初の基本方針からこれまでの経緯も含め、試算の根拠となる情報を開示して説明すべきだろう
▼負担などに関する国と都の綱引きも絡むようだが、事は数十年に一度と言っていい国家プロジェクト。世界が注視していることを忘れてはならない。日本スポーツ振興センター(JSC)が掲げてきた「世界一のスタジアムをつくる」という理念のもと、「スポーツ施設の役割を果たすことが重要」「基本的な収容人数を確保してほしい」といったIOCの要望に沿う形で決着してほしい
▼新競技場は19年のラグビーW杯で初めて使われる予定で、建設に3年半かかることを見込めば、15年10月には着工する必要がある。修正案では基本設計が来年3月までとされ、4月からは実施設計、7月には建物解体に着手するスケジュールが示されている。もはや待ったなしの状況で、足踏みは許されない。

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