コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/01/11

動き出した首都高大改修

▼首都高速道路会社が1兆円規模の大規模改修に乗り出すことになった。老朽化で道路の傷みが激しいためで、首都圏直下型地震への備えの意味もある。なぜ財政難のこの時期に、といぶかる声もあろうが、むしろ今だからこそではないだろうか
▼首都高は1995年の阪神大震災後に約3千億円をかけて補強工事を進めたが、東日本大震災の教訓からすれば、改めて想定外の事態を考えなければならない。現状で「耐震基準に照らして問題ない」との意見もあるが、安全神話は崩れやすい
▼首都高は高度成長期に造られた道路が多く、橋脚の破断個所やコンクリートのひび割れなどの発見件数が年々増えている。総延長約300キロのうち約5割の140キロは建設後30年以上、90キロは40年以上を経ている。補強を続けるだけでは抜本的な対策にならず、やはり古い道路区間の改築などの大規模改修のほうが、長い目ではコストの抑制にもつながる
▼首都高大規模改修の報が手掛かり材料となり、5日には道路・橋梁株が一斉高の展開になった。道路や橋梁などの補修工事増加で関連各社にメリットが享受されると判断されたためだ。具体的な検討はこれからになるが、首都高では年内にも具体的な方針をまとめる考えだ
▼ただ利用者からすれば、改修が利用料金アップにつながるのはありがたくない。すでに距離別料金制度移行で実質負担増になっていることを考えれば、これ以上の負担増なく改修を実現する良策はないものか。加えて言えば、あの慢性的な渋滞も改修を機にぜひ軽減してもらいたい。

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