コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/04/11

仮設住宅のあるべき姿

▼ 弱ったインフラを揺るがす、7日深夜の最大余震。被災地ではまだまだ気の抜けない状況が続いているが、その一方で、復興への確かな足音も聞こえている
▼ 仮設住宅の建設もそのひとつだ。岩手県陸前高田市では今回の被災地で初めての36戸が完成し、9日には入居が始まった。長い避難所生活を終え、新しい我が家に家財道具を運び込む入居者たちの笑顔には、ほっとさせられる
▼ 仮設住宅の建設は、用地の確保など難題を抱えながらも今後、急ピッチで進められる。大畠国交相は8月中旬までに計6万戸の仮設住宅建設を業界団体に要請。さらに菅政権は、復興に充てる第1次補正予算でこれを上回る7万戸分の予算確保を決めた
▼ 大手住宅メーカーへの通常発注のほか、地域の大手住宅ビルダーによる数十戸単位の一括発注案なども浮上している。ここは何よりも、有効な手法を駆使した、効率的な供給が望まれる
▼ 同時に、仮設住宅移住後の被災者対策も重要だ。阪神大震災では、仮設住宅で250人以上、復興住宅でも約10年間で681人の孤独死を招いた。その多くは、地域の支え合いが〝崩壊〟した結果だという  
▼ 「仮設」とはいえ、今回も阪神同様、多くの被災者が長期間の生活を強いられると予想される。住人同士のコミュニケーションを促し、安心して生活を立て直す機能を持った住宅づくりはどうあるべきか。阪神の教訓を生かすべく、専門家らの意見にも耳を傾けたい。

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