コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/05/09

液状化を都市づくりの好機に

▼千葉県では、浦安市や習志野市などの湾岸部に加え、我孫子市や香取市など河川や湖沼沿いの内陸部でも建物が沈下したり傾いたりした。とくに浦安市では、道路や施設などインフラ関係の被害額だけで約734億円にのぼると試算されている。本格復旧はこれからとはいえ、県内の建設業界団体がいち早く立ち上がり、精力的な応急復旧にあたったことは、小紙でも逐次お伝えしてきた
▼液状化被害は他の自然災害と異なり、従来の被害認定基準では大半の被災家屋が支援の対象とならなかった。このため国は、県や地元市の要請を受け、液状化に対応した判定基準の見直しを行った。今後は県の独自支援なども含めて、早急な生活再建ができるよう、現状に即した柔軟な対応が求められる
▼一度液状化した場所は、大規模な余震や誘発地震で液状化の再発の可能性が大きい。心配される首都直下地震に備えるためにも、大規模な地盤改良や杭による補強など、再発を防ぐ抜本的な対策が必要だ。PR不足やコスト高であまり使われていないすぐれた技術や工法も多く、これらの活用も有効だろう
▼今回の液状化で、埋め立て地に暮らす「新住民」の団結が強まっていると聞く。当面の危機を乗り越えるだけでなく、液状化対策のモデル都市をつくる好機とするような前向きの取り組みに期待したい。

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