コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2012/06/04

復興特需を浮上のチャンスに

▼ 東日本大震災の教訓や首都直下型地震への備えに対応した耐震工事が増え始め、ゼネコンを中心に建設業界が特需に沸いている。公共事業の減少に長年苦しんできた業界には、千載一遇のチャンスととらえ、浮上のきっかけにしてほしい
▼ JR東日本は今後3~5年間で総額1千億円を投じ耐震工事の実施や地震計の増設などを発表。首都圏直下型地震が「4年以内に70%の確率で起こる」との衝撃的な予想が出されたことから、従来計画にない部分も補強の対象に盛り込まれた。このほか、東京メトロなど首都圏の鉄道各社も相次いで耐震強化対策に乗り出す
▼ 首都高速道路でも大規模な改修・耐震工事が検討されており、工事規模は数千億円に上るとされる。東京オリンピックに合わせて開通した首都高速は約3割が建設から40年以上を経過し老朽化が進む。補修が必要な損傷は約9万7000か所といわれ、大規模改修は喫緊の課題。ゼネコン各社はこれまでの実績とノウハウを生かすべく、その行方を注視している
▼ 一方で、オフィスビルや工場、分譲マンションなどでも耐震工事への関心が高まり、いまや「当然の備え」となりつつある。ただ、こうした小規模の耐震工事では、大手や中堅ゼネコンから小規模の建設業者への「たらい回し」が起きているという。需要急増による人手・資材の不足やコストの上昇といった問題も顕在化しており、復興需要の奪い合いによるダンピングの恐れもある。公共工事の依存体質からの脱却など、耐震特需を自らの体質改善の機会とすることも求められる。

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