コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/08/08

地デジ協奏曲で見えたもの

▼地上波テレビが被災地の3県を除いてデジタル放送に完全移行して、2週間余り。地デジ狂想曲は収束したのか。移行当初は総務省の地デジコールセンターに問い合わせが殺到したそうだが、最近は1日1万件を割り込み、放送関係者は「完全移行はおおむね成功」と評価している
▼それにしても今回の騒動は長かった。純粋な視聴者には、執拗なテロップだけでも気に障るし、せかされる思いが続いた。こうした国家レベルの変更には周知期間も必要だろうが、チューナーの無償貸与を決めた総務省の駆け込み施策など反省材料も浮上した。番組の質を含めたデジタル化のメリットも、もっと周知すべきだったろう
▼へそ曲りな筆者などは、世間が騒ぐほど動く気になれず、結局、移行の数日前にやむなく家電量販店に駆け込む始末。おかげで我が家は、いまだに地デジ対応のアンテナが立たず、地上波が見られない状態が続いている。見積もりに来てくれたアンテナ業者に尋ねると、「すぐにでも出来るのだが、家電量販店を通さないと独断ではやれない」との返事。どの世界でも、もろもろしがらみがあるらしい
▼しかし実際に地上波が見られなくなって数日たつと、テレビはどうしても必要なものでもなかった気がしてくる。逆にテレビを見ていた時間に、出来なかったことが出来て、かえって有意義な気さえする。若者のテレビ離れが進み、今回の地デジ化でその流れが加速するとの声も聞く。“テレビのある生活が当たり前”の時代が移ろうのも、もう間近なのかもしれない。

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