コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2015/01/26

モンドセレクション

▼賞というものに、人は騙されやすい。そうまで言っては語弊があるかもしれないが、我々が賞という冠にとかく弱いのは事実だろう。賞とは本来、受賞対象に相応の光を当てるべきもので、実力はもちろん、ときには運も必要になる。受賞によって多くの目にとまり、商業的にも成功するなら、それは賞の効用に他ならない
▼ただし一口に賞といっても様々で、選考過程や基準が明確でないものも少なくない。たとえば、食品などのCMや包装などでよく見かける「モンドセレクション」はどうか。我が家の娘が最近、沖縄旅行の土産に買ってきた「ちんすこう」の包装にも「モンドセレクション3年連続金賞受賞」の文字が躍っていた
▼モンドセレクションは本部をブリュッセルに置き、ベルギー政府主導で1961年にできた独立系国際機関。酒、食品、飲料、ダイエット・健康製品、化粧品、ワインの6分野で世界各国の商品を評価し、品質に応じて表彰する。例年80か国以上から3000を超える商品が応募し、14年度も3163品が参加。このうち約13%にあたる400品が最高金賞に輝いたという
▼入賞の確率はかなり高く、御世辞にも狭き門とはいえそうもない。しかも、審査料として約1200ユーロ(約17万円)がかかる。とくに日本からの出品が多く、日本商品の入賞率は約8割とか。「お金を払って出品すれば、ほぼ受賞できる」「審査基準や結果内容などが公式に発表されておらず不透明」などの批判や指摘も、こうしたところから出ているようだ
▼一方で出品する企業側は「栄誉ある賞なのでアピールでき、顧客からお祝いも頂いている」と、賞の効用を強調する。審査が不透明との指摘についても、モンド広報は「参加企業の機密を尊重するため」と説明している
▼消費者としてはどんな賞であれ、それが選択の材料となり、よりよい商品を手にすることにつながるなら、何ら目くじらを立てる必要はない。モンド側も厳正な審査に努めることで、賞の価値を高めていってほしい。

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