コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2017/11/28

夢膨らむ「チバニアン」命名

▼千葉は知名度では何かと損が多い土地と言われれば、不承不承うなずくしかない。千葉県にあっても「東京ディズニーランド」だし、成田空港もかつては「新東京国際空港」だった。そんな千葉の名を、全国どころか世界に知らしめる絶好の機会が到来しそうだ
▼約77万年前に地球のN極とS極が最後に逆転した痕跡を確認できる市原市田淵の地層が、地質時代の名称「チバニアン(千葉時代)」として認められる可能性が大きくなった。日本の研究チームが国際学会に申請していたもので、地質年代の境界を代表する「国際標準模式地」の候補として、競合するイタリアの地層を1次審査で破り、唯一の候補に残ったためだ
▼地質時代というあまりに壮大な話ゆえ、理解するのはなかなか難しい。地球は過去に何度もN極とS極が入れ替わっている。人類最古の足跡の化石が確認された360万年前から現在までの間には11回の反転が判明しており、最後の逆転が約77万年前。磁力をもつ鉱物が含まれる地層を調べることで、岩石ができた時のN極とS極の向きが分かるという
▼候補となったのは、市原市の養老川沿いにある「千葉セクション」と呼ばれる地層。約77万年前の火山灰が含まれており、こうした堆積物からN極とS極の逆転現象を精度よく見ることができるとされた
▼地元住民や関係者からは早くも喜びや期待の声が上がっている。ただ、認定に際しては4段階の審査が予定され、今回はまだ第1段階。今後、上部の委員会で審査が続けられ、最終的な結果は来年以降になる見込みという。過去には覆ったケースもあり、楽観は禁物だ
▼いずれにせよ、世界的に希少な地層を保存保護していくためには、まず市を中心に国天然記念物指定に向けた事務手続きを急ぐ必要がある。地域の活性化につながる資源としての活用を考えながら、見学者向けの環境整備も不可欠だ
▼46億年の地球史に千葉の名が刻まれることを考えると、いやが上にも胸が躍る。気を引き締めて、正式決定の時を待ちたい。

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