コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2018/10/02

近づく元号改正

▼来年5月1日の改元の時期が近づいてきた。メディアなどでも「平成最後の〇〇」といった表現が目につくようになり、改元への機運も高まりつつある。新元号にどんな思いや願いが込められた漢字が与えられるか注目される
▼元号制は日本だけに残り、「大化の改新」で有名な「大化」から1300年以上、計247を数える。西暦は数字の積み重ねで年次を表すので単純で便利だが、一方で元号は、表意文字である漢字を使うため、その時代の理想や希望などを文字に託すことができる
▼天皇一代に元号一つの「一世一元」制になったのは明治以降。「明治」は明治天皇のくじ引きで選ばれ、「大正」は3案から新天皇即位後に枢密院が全会一致で決定し、天皇が定めた。「昭和」は「元化」「同和」とともに最終案として枢密院に諮られた
▼「平成」は、政府によって定められた史上初の元号。候補の中から「平成」「修文」「正化」の3案に絞り、「元号に関する懇談会」や衆参両院の正副議長の意見を聞き、全閣僚会議を経て閣議決定した
▼当時の小渕恵三官房長官が「平成」を墨書した台紙を掲げる記者会見の様子は、その後も折に触れ目にする機会が多い。崩御からわずか約8時間後の発表は、重苦しく厳粛な雰囲気だった
▼今回も、政府は「平成改元」の手順を基本的に引き継ぐ方針だ。政府が複数の学者に数個の候補の考案を委嘱し、官房長官が原案を絞り込むなどして最終的に政令で定める
▼今回は天皇の崩御ではなく、期日が決まった退位による皇位継承で行われるのが特徴。国民生活への影響を考慮し、新元号は事前に公表される予定だが、明治以降の元号の略称「M T S H」は頭文字として避けるのでは、これまで候補に挙がったが採用されなかった漢字が使われるのでは、といった声もある
▼「平成」が平和主義を大切にする天皇のもとで戦後日本がめざしたものを相当程度実現した時代と考えれば、穏やかで成熟した日本がイメージされる文字の採用が望ましいようにも思われる。

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