コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2011/12/12

震災で知る“命の道”

▼年も押し詰まってきた。東日本大震災によって、日本人にとって忘れえぬ年になることは間違いない。9か月たった今も、収束どころか、先の見えない課題が山積したままだ。せめて未曾有の災害から多くの教訓を学び取り、今後に活かす転換点にしたい
▼社会資本整備に対する見方一つとっても、変化の兆しが見えている。震災では多くの交通網が分断されたが、復旧直後には、食糧や救援物資、けが人を運ぶために重要な役割を果たした。道路は「命の道」とも言われるようになった
▼道路評価手法の見直しの動きも出始めた。先の3次補正では、地域防災の観点から、費用便益1以下の事業採択が「妥当」とされ、これまでの費用便益比(B/C)評価を覆す事例となった
▼B/Cとは、道路整備による事業の効果を金銭に置き換え、その妥当性を評価する指標で、費用便益が1を下回ると費用対効果が低いと判断される。しかし、命にかかわる道路を「走行時間短縮」「走行経費減少」「交通事故減少」の3便益だけで評価するのはどうか、との意見はこれまでにもあった。現にドイツやフランスなどは、大気汚染減少や走行快適性などの数値も加えた事業評価手法を採用している
▼国は震災を受け、これまでの費用便益評価を見直し、平時評価に「災害時評価」を加えた新たな評価方法を取り入れた。今後はB/C1が絶対的なラインとする方針から脱却し、地域性などを加味した新たな価値判断の設定が急がれる。くしくも震災は、数字では割り切れない物事の大切さも教訓として残したのではあるまいか

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