コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2019/11/19

検証要する「桜を見る会」

▼税金で賄われる内閣の公的な行事を私物化しているとの批判を受け、首相主催の「桜を見る会」が来年度の開催中止に追い込まれた。招待者の範囲や選定基準を検討する必要があるとの判断によるもので、ここまで批判や疑念を招いた以上、開催中止は当然だろう
▼桜を見る会は各界で功績や功労のあった人々を招いて慰労する目的で、毎春、東京・新宿御苑で開かれている。経費は国の予算から支出されるが、規模の拡大が問題視され、とくに第2次安倍政権発足以降は年々増加。首相の後援会関係者が大勢招待されていることが明らかになった
▼「開催要領」には計約1万人と明記されているが、今年の参加者は5年前より約4000人以上多い約1万8200人だった。予算は毎年一律の約1767万円だが、実際の支出は膨らみ続け、今年は3倍以上の5519万円。来年の費用は概算要求でさらに上回る5728万円に及んでいる
▼実は筆者も昨春の会に、専門新聞関係団体の推薦により参加させてもらった。送られてきた招待状は、報道されている首相の後援会関係者への案内状とは違い、文面・形状ともごく普通の簡潔なものだった
▼招待されながら物申すのもいささか気が引けるが、実際に参加して驚いたのはやはり招待者の多さだ。最寄り駅からの道には会場へ向かう招待者がひっきりなしに続き、園入り口の受付も長蛇の列。園内には、地元後援会の方々か、手旗を掲げるガイドを先頭に移動する団体の姿も見受けられた
▼開催時間は午前の数時間だが、首相が来場していたのはわずか数十分と聞く。筆者の周囲には首相の姿を見ることなく終わった招待者も大勢いた。これもまた、会の肥大化による弊害と言えるだろう。この時も招待者は約1万7500人に及んだというから、首相が全員の前に姿を現すのはそもそも無理な話ではある
▼今回さまざまな批判が噴出した会の現状には、やはり問題が多い。この際、会のあり方を徹底検証し、本来の趣旨に沿ったかたちに改めてもらいたい。

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