コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

  1. ホーム
  2. コラム「復・建」

2020/04/28

必要だった「最悪からの逆算」

▼小欄もこのところ新型コロナウイルスにまつわる話題が続くが、いまの社会の深刻な閉塞状態を考えれば、別の話題にシフトするきっかけすらなかなかつかめない。人との間には自然と距離が保たれ、「困りましたね」などと言い合う声にも、日を追って諦念が混じる気がする
▼4月7日に発令された緊急事態宣言も残すところ1週間余りだが、いまだ終息が見通せない中で、5月6日の全面的な解除は難しく、期間延長の可能性が増している。宣言発令当初の思惑どおりにいかなかったことだけは間違いない
▼数日前に新聞で目にした千葉大学教授の神里達博氏による論評によれば、日本は諸外国に比べ感染が低く抑えられてきたように見えることが、逆に日本社会全体の対応の甘さを招いているのだという
▼その上で「本来、リスクマネジメントは、まず最悪の事態を想定し、確認がとれたところから解除していくというステップを踏むべき」と述べている。なるほどと唸らされる指摘だが、確かに日本という社会は、社会的にも文化的にも「最悪の事態」を想定するのが苦手なのかもしれない
▼神里氏はさらにこう主張する。「リスクマネジメントを担う、政治家や行政、それを支える専門家は、当然、最悪の想定から逆算して対応していく必要がある」
▼これほど的を射た指摘もないだろう。しかし残念ながら、現状では政治や行政がそれに十分応えているとはとても言えない。「最悪からの逆算」に至っては、もはや遅きに失してしまった感すらある
▼待ち望まれるワクチンの開発も世界中で例を見ないほど急ピッチで進められているが、実用化までには最短でも1年から1年半はかかると言われている
▼必要以上に悲観的にはなりたくないが、現実を直視せず、都合よく解釈したりむやみに楽観視したりすることは禁物だ。ゴールデンウィーク明けの社会がどうなっているか、緊急事態宣言の行方はどうなのか、わずか1週間余り先のことさえ、私たちにはもはや想像の埒外にあるのだ。

会員様ログイン

お知らせ一覧へ