コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2021/06/30

際立つ県人口の二極化

▼アクセスの向上で東京へ出やすくなった流山市や印西市などの地域の開発には、目を見張るものがある。特につくばエクスプレス(TX)の流山おおたかの森駅近くには、大型の商業施設やマンションが立ち並び、親子連れが行き交うなど、活況著しい。かつては陸の孤島とも言われた地域の発展ぶりを見るにつけ、本県の開発ポテンシャルを再認識させられる
▼2020年の国勢調査では、県人口は昨年10月1日現在で628万7034人と、前回調査の15年から6万4368人増え、過去最高となった
▼増加人口は流山市が2万5587人(増加率14・67%)でトップ。以下、印西市9981人(同10・77%)、習志野市8397人(同5%)、四街道市4387人(同4.92%)、袖ケ浦市が2954人(同4・85%)と続いている
▼流山市は江戸川に近い静かな街だったが、05年のTX開通を機に一変。都内まで直通で行けることから、働く世代が移り住むようになり、市が力を入れる子育て政策も奏功した
▼市は10年から都内で働く共働きの子育て世代をターゲットに、「母になるなら、流山市」をスローガンに掲げ、保育所の増設や駅から保育所への送迎サービスなどの充実を図った。今では環境のよさや子育て環境の充実により他の東京近傍から当地に移住する人も増えている
▼一方で、房総半島南部では人口の減少が進む現実も見過ごすことはできない。東京からの交通の便が悪いことなどから、地域間の格差が広がり、県内で二極化が進む
▼減少率が最も大きかったのは、鋸南町の12・76%。19年の台風で甚大な被害を受けたことから、被災した住民が町外に転出するケースが多い。以下、長南町(12・2%減)や勝浦市(12%減)、九十九里町(11・3%減)など、外房地域の人口減は際立つ
▼新型コロナウイルスの影響で、東京郊外への移住が注目されていることもあり、今後は外房地域への移住促進につなげたい。自然豊かな利点をいかにアピールしていくか、行政の手腕も問われる。

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