コラム「復・建|日刊紙 日刊建設タイムズ

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2021/11/24

異次元の活躍

▼どんな形容をもってしても、足りないほどの活躍ぶりだった。「歴史的」「前人未踏」「規格外」「並外れた」などなど。個人的には「異次元」の活躍とでも言いたい
▼米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手が、今季のア・リーグ最優秀選手(MVP)に「満票」で選ばれた。投打の「二刀流」で野球の本場を席巻した偉業を見れば、もはや称賛に異論を挟む余地はない
▼何より素晴らしいのは、打って走って投げるという野球の基本技術をすべて圧倒的なレベルでやってのけた点だ。しかも、米大リーグという最高峰の舞台で
▼興味深いデータとして、今季は639打席に立ち、投手でも相手打者と533打席で対戦した。計1172となり、もちろんメジャートップで、4桁に到達したのは大谷選手だけだという。二刀流の獅子奮迅ぶりを物語るとともに、傑出したタフさと献身性を裏付ける
▼2021年は東京五輪よりも、大谷選手が大活躍した年として記憶されるかもしれない。「大谷現象」とでも言うべき社会的事件となり、多くの金メダルを獲得した五輪期間中でさえ、朝の情報番組で「大谷速報」が手薄になると、視聴者から文句が来たと聞く
▼コロナ禍での閉塞感を、大谷選手が吹き飛ばしてくれたと言っても過言ではない。現に、五輪よりも大谷を観に行きたいと口にする人が筆者の周囲にも複数いた
▼コラムニストの桧山珠美さんがこんなことを書いている。「大きくてたくましい肉体の割に、マッチョな雰囲気を全く感じさせないのがとても不思議」で、「楽しんでやっている雰囲気が全身からあふれている」「女性ファンが多いのも、こんな姿に魅力を感じるからだ」と。なるほど、こうした見方もできるのかと感心させられた
▼MVPの活躍には米メディアも相次いで称賛。ロサンゼルス・タイムズは「神話のような恍惚感」を生んだ今季は「たった一度の魔法の年なのか」と問いかけ、答えは「サスティナブル(持続可能)」としている。来年以降の活躍にますます目が離せない。

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